liite_13-37

雑な文章、メモ、記録。

うつわ

 

遠くではじける花火に見惚れていたら、わたしという空っぽな器には意味が与えられていた。ここのところ、ずっと喉が渇くんだ。高校の自動販売機でメロンソーダを買って、飲み干したら歩くたびにしゅわしゅわと音がした。空になったペットボトルは案外頑丈で、穢れなく、わたしはいつも卑屈になる。美しい色である透明が価値を持っていることが羨ましいと思った。

 

着色された器はからだに悪そうな飲み物を好んだ。鮮やかな緑のメロンソーダは薬のような味がするので、騙されたふりをしてあげる。炭酸が消えゆくのを待って、さざなみさえ起きないように準備をして、祈る。あのとき、雑踏を見上げていた金魚が飛び降りて、わたしは水槽になる。金魚を飲んで水槽になる。